整形外科の医師、もしくは家族や友人から「整骨院は行かない方がいい」といわれて困惑していませんか?
整形外科と整骨院、いずれも交通事故などで負ってしまった傷病を治療するためにある施設です。
自身が負った傷病を少しでも早く完治させたいと思っているところに「行かない方がいい」と断言されてしまうと、戸惑ってしまって当然でしょう。
ただ、そう断言してしまう方にはそれなりの理由や背景があるはずです。
そこで、この記事では整形外科と整骨院の違いや、整骨院に通う際の注意点について解説していきます。
目次
【結論】自覚症状と医師の許可があれば整骨院にいっても大丈夫

誰かからいわれた「整骨院は行かない方がいい」を鵜呑みにする必要はありません。
痛みなどの自覚症状があれば、整骨院にいっても大丈夫です。
ただし、整骨院へは必ず整形外科と併用して通うようにしてください。
整形外科の診察を受けなければ、「むちうち」や後遺障害の診断書を発行してもらえません。
医師からの「整骨院は行かない方がいい」を説得するには
医師が「整骨院は行かない方がいい」という背景には、それなりの理由があるはずです。
詳しい理由は次章で解説しますが、その理由をねじ伏せて整骨院に通う許可を得るには「診察時間」の都合を伝えるといいでしょう。
多くの整骨院は夜遅い時間まで診察を受け付けており、仕事後でも通いやすいようになっています。
その反面、整形外科は夕方頃までで受付を終えるところが多く、頻繁に通院するのは難しいかもしれません。
それを逆手にとって「仕事後でも治療を受けられるように、整骨院に通ってもいいですか?」と申し出れば、大抵の医師は承諾してくれるでしょう。
ただし、必ず「時間が合うときは、こちらの病院に通うようにします」と伝えてください。
整骨院に通いながらも、医師にも経過を確認してもらうという条件付きなら問題ないはずです。
「整骨院は行かない方がいい」といわれる理由
あなたに「整骨院は行かない方がいい」と助言してきた人は、整形外科の医師、もしくは家族や友人などの知人のどちらかのはずです。
医師と知人、それぞれがそのように言い切る理由を解説していきます。
- 医師からいわれた場合
- 知人からいわれた場合
医師からいわれた場合

「整骨院は行かない方がいい」と医師から言われた場合、その背景として以下の4つの理由が考えられます。
- 整形外科と整骨院では治療の進め方や設備が違う
- 執拗なセールスをかけられる場合がある
- 不正請求をされる可能性がある
- 日によって施術者が変わることがある
整形外科と整骨院では治療の進め方や設備が違う
整形外科や整骨院では、治療の進め方や設備に違いがあります。
さらに、整骨院の中でも施設によってそれらの違いがあるはずです。
そのため、医師には「整骨院に通っても、どんな設備がある施設でどんな治療を受けるのか」の見当がつきにくく、気軽に「整骨院に行ってもいいですよ」とはいいにくい実情があるのです。
整骨院に通っても、医師が思うような適切な治療をしてもらえるとは限りません。
場合によっては、過負荷によって症状を悪化させてしまうこともあり得ます。
そのような事情から、医師はあなたのためを思って「整骨院には行かない方がいい」と伝えているのです。
執拗なセールスをかけられる場合がある
整骨院に通うと、執拗なセールスをかけられる場合があります。
医師はそのような整骨院の実態を知っているため「整骨院は行かない方がいい」と伝えてくれているのかもしれません。
一つの地域にコンビニよりも整骨院の方が多くあるといわれており、各施設はリピーターを獲得するためにさまざまな施策を投じています。
その手法の一つとして、回数券をおすすめしたり、メンテナンスの必要性を説明し再訪を促したりする整骨院があるのです。
医師は、そのような執拗なセールスによってあなたが不快な思いをしないで済むように、気をつかってくれているのかもしれません。
不正請求をされる可能性がある
施術日数の水増しなどで56万円不正請求 京都の整骨院、療養費取り扱い5年中止に
京都新聞
一部の整骨院が患者に対して不正請求をしていたことが発覚し、世間を騒がせています。
あなたに「整骨院はいかない方がいい」と告げる意思は、あなたが不正請求の被害に遭ってしまうことを懸念しているのかもしれません。
医師としては、同じように患者さんを相手にする職業に就くものとして、不正請求をする整骨院は「許せない存在」なのでしょう。
医師は、医療従事者としての責任感から整骨院への通院を勧めたくないのかもしれません。
日によって施術者が変わることがある
多くの整骨院は、複数人の施術者が在籍しています。
通う施設によっては通院のたびに毎回施術者が変わることもあり、その都度カウンセリングをの時間を設けなければなりません。
そうなると施術にかけられる時間が少なくなり、思うような効果を得られない可能性があります。
そのような事態を懸念して、医師は整骨院への通院を否定するような発言をしたのかもしれません。
知人からいわれた場合

家族・友人などの知人から「整骨院は行かない方がいい」といわれた場合、以下の3つの理由が考えられます。
- 症状が悪化したことがある
- セールスをかけられて嫌な思いをしたことがある
- 医師から「整骨院は行かない方がいい」といわれたことがある
症状が悪化したことがある
その知人は実際に整骨院に通院したことがあり、通院前よりも通院が悪化してしまったことがあるのかもしれません。
前述したように、整骨院では過負荷によって症状を悪化させてしまうケースが稀にあります。
また、整骨院は免許さえ持っていれば誰でも開業できてしまうため、施設や施術者による格差が広がっているのが実情です。
過去に整骨院に通院して症状が悪化したことがある人なら、あなたに「整骨院は行かない方がいい」と告げるのも不思議ではありません。
セールスをかけられて嫌な思いをしたことがある
その知人は、過去に整骨院で診察を受けた際にセールスをかけられて嫌な思いをしたのかもしれません。
誰だって、自分が必要としていないことを執拗に売り込まれると嫌悪感を感じるものです。
特に、整骨院の治療の効果を実感できないうちに執拗なセールスをかけられると「ここに通うのはこれっきりにしよう」と思うのも仕方ないでしょう。
その知人はあなたに同じような嫌な思いをしてほしくないからこそ、整骨院に通うことを勧めてこないのかもしれません。
医師から「整骨院は行かない方がいい」といわれたことがある
医師から「整骨院は行かない方がいい」といわれたことがある方なら、自分の知人に対しても同じようにアドバイスするはずです。
一般の患者にとって、医師からのアドバイスは絶対的な信頼を寄せられるはず。
「医師がそういうなら、それが真実なのだろう」と、疑いや疑問を持つことなくあなたにも同じように伝えているのかもしれません。
整骨院とは?整形外科と何が違う?

整骨院と整形外科の違いを理解してもらうため、それぞれの定義や治療内容を解説していきます。
- 整骨院とは
- 整形外科とは
整骨院とは
整骨院とは、「柔道整復師」という国家資格を持っている人が施術をおこなう施設のことを指します。
柔道整復師は、外傷の痛みなどの症状を薬などを使わずに軽減させることが得意です。
また、レントゲンやMRI検査で「異常なし」と診断された症状に対して、手技療法・物理療法・運動療法などを用いて治療をおこなってくれます。
柔道整復師は医師ではなく、整骨院は医療機関ではないため、患者の症状を診断することはできません。
整形外科とは
整形外科は、医大での6年間以上の勉強や臨床を経た医師が診察をおこなう医療機関です。
手足や背骨の傷病、リウマチなどの慢性疾患を取り扱い、医師には全ての医療行為をおこなうことを法律で許可されています。
患者の様態に合わせて適切な診察をおこない、患者の傷病を診断することも許可されています。
整骨院に通うメリット・デメリット

「整骨院は行かない方がいい」といわれて戸惑っているあなたのために、整骨院に通うメリット・デメリットをお伝えします。
- 整骨院に通うメリット
- 整骨院に通うデメリット
整骨院に通うメリット
整骨院に通う最大のメリットは、通院しやすいことです。
一つの地域に多くの整骨院があり、夜遅い時間帯まで受付してくれているところもたくさんあります。
また、交通事故による「むちうち」などで後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の認定を受けられるかどうかは通院頻度が大きく影響します。
受付時間が短い整形外科では頻繁に通えない方は、整骨院への通院を検討するといいでしょう。
整骨院に通うデメリット
整骨院では、レントゲンやMRI検査といった画像診断が受けられません。
よって、患者の自覚症状をもとに施術をおこないます。
画像診断がないため、骨折や脱臼などがあっても気付かない場合があります。
また、整骨院では薬を処方してもらうことはできません。
交通事故に遭ったら、整形外科と整骨院のどちらに通うべき?

「結局のところ、交通事故に遭ったら整形外科と整骨院のどっちに通えばいいの?」
あなたの頭の中には、上記のような疑問が浮かんでいるはずです。
この章では、その疑問への回答をお伝えします。
- まずは整形外科で検査をしてもらう
- 外傷がある場合・亜急性の症状が出た場合は整骨院への通院を検討する
- 診断書の発行は医師にしかできない
まずは整形外科で検査をしてもらう
交通事故にあったら、まずはできるだけ早く整形外科にいって検査を受けてください。
交通事故によって患う可能性が最も高い傷病は「むちうち」です。
しかし、むちうちの症状は事故に遭ってから数日~数週間遅れて現れることも多々ります。
事故後できるだけ早く医師の診察を受けることで、レントゲンやMRI検査などの適切な検査を受けられ、自覚していない症状を早期発見できる可能性があるのです。
また、事故発生から整形外科の診察を受けるまでに日数が空きすぎてしまうと、症状と事故の因果関係を疑われてしまう可能性もあるので注意が必要です。
自身の身体のため、そして治療費や慰謝料などの適切な補償を受けとるためにも、事故発生後できるだけ早く整形外科に行くようにしましょう。
外傷がある場合・亜急性の症状が出た場合は整骨院への通院を検討する
交通事故に遭ったあと、整形外科でレントゲンやMRI検査などを受けても「異常なし」と診断されることはよくあります。
痛みなどの外傷があるにも関わらず「異常なし」と診断されてしまった場合、もしくは亜急性の症状が出た場合は整骨院への通院を検討するといいでしょう。
整骨院では、整形外科の検査で「異常なし」と診断されてしまった場合でも、症状に合わせた適切な治療をしてくれるはずです。
外傷や亜急性の症状がみられる場合は、整骨院に出向いて応急処置や、症状の軽減に繋がる治療・指導を受けましょう。
診断書の発行は医師にしかできない
加害者や保険会社から治療費や慰謝料などを受けとるためには、医師の診断書が必要です。
診断書は医師にしか発行できないため、整形外科への通院は必須となります。
整骨院に通っても診断書を発行してもらうことは不可能なので、把握しておきましょう。
後遺症が残ってしまった場合の後遺障害診断書についても同様です。
交通事故による傷病で整骨院に通う際の注意点

最後に、交通事故による傷病で整骨院に通う際の注意点をお伝えします。
- 整形外科と併用して通院する
- 加害者側の保険会社に必ず連絡する
- 経営年数が長い整骨院を選ぶ
整形外科と併用して通院する
交通事故による傷病の治療のために整骨院に通うなら、必ず整形外科と併用して通院してください。
前述したように、整骨院だけに通っていても診断書を発行してもらうことはできず、そうなると治療費を全て自己負担することになってしまいます。
また、そもそも整骨院では患者の傷病を診断することはできません。
事故に遭ったらまずは整形外科に診てもらい、その後も定期的に経過を観察してもらうようにしましょう。
加害者側の保険会社に必ず連絡する
整形外科と併用して整骨院に通う際は、必ず加害者側の保険会社に連絡を入れてください。
同じ傷病による整形外科と整骨院の併用はできません。
どちらか片方しか保険は適用されず、もう片方は治療費の全額を支払うことになります。
整形外科と整骨院の併用は、加害者側の保険会社から治療費を支払う承諾を得ている場合のみ可能です。
経営年数が長い整骨院を選ぶ
柔道整復師の資格を持っていれば誰でも整骨院を開業できるため、一つの地域にたくさんの整骨院があります。
その中から信頼できる施設を選ぶためのポイントになるのが、経営年数の長さです。
整骨院が増え続けても同じ場所で長く経営を続けている整骨院は、それだけ施術の評判が良い証拠です。
他に利用者からの口コミを参考にするのも一つの手段ですが、ネット上の口コミは匿名性が高いため信頼性に欠ける部分があります。
質の高い整骨院を見極めるために、経営年数の長さに着目してみてください。
まとめ
「整骨院は行かない方がいい」といわれた場合、必ずしも鵜呑みにする必要はありません。
そういう人にはそれなりの事情もありますが、それはその本人の思い込みでしかない可能性もあります。
また、コンビニよりも多いといわれるほど多くの整骨院がある中で、施設や施術者の格差が開いているのが実情です。
「整骨院は行かない方がいい」と断言する人は、質の悪い整骨院の実状しか知らない可能性もあります。
ただし、整骨院に通うなら整形外科と併用することは必須です。
整骨院に通っても診断書を発行してもらうことはできず、後遺障害の認定もしてもらえません。
整骨院と整形外科を併用することで、交通事故による傷病の治療をより効率的に進められることが期待できます。
「整骨院は行かない方がいい」という言葉を鵜呑みにせずに、自覚症状がある場合は整骨院への通院も検討してみましょう。