むちうちは、交通事故に遭った際に最も発症する可能性が高い傷病です。
しかし、事故後にレントゲン検査を受けても異常なしと診断されるケースも多くあります。
この記事では、むちうちがレントゲン検査で異常なしと診断されてしまう理由や、その際の対処法を解説していきます。
自身や家族などにもしものことがあったときのため、ぜひ参考にしてください。
- むちうちがレントゲン検査で異常なしとされることが多い理由
- むちうちの概要と症状
- レントゲン検査で異常なしと診断されたときにとるべき行動
目次
【結論】むちうちはレントゲン検査で異常なしと診断されることが多い

実際はむちうちを発症していても、レントゲン検査で異常なしと診断されるケースは多くあります。
なぜなら、レントゲン検査では骨に関する異常しか診断できないからです。
よって、レントゲン検査で異常なしと判断されたということは「骨に異常はない」ということを意味します。
骨に症状がみられるむちうちなら、レントゲンに写る
むちうちを患ったことにより、骨に症状がみられる場合はレントゲン検査で適切な診断を受けられます。
むちうちによる骨に関する症状として多いのは、首の骨のズレです。
首の骨がズレてしまうと、神経を圧迫してしまい、全身への血の巡りを狂わせてしまいます。
そうなってしまうと、事故から数日~数週間経ってから痺れや痛みを感じるようになるので注意が必要です。
むちうちとは

むちうちとは、ひとことでいうと「首の捻挫」です。
事故によって強い衝撃を受けた際に、首がムチのようにしなるような動きをすることから「むちうち」と呼ばれています。
ただ、むちうちは実は正式な傷病名ではありません。
医師からの診断書には「頚椎捻挫」または「外傷性頚部症候群」と記述されます。
- 交通事故でむちうちが起こる理由
- むちうちの種類と症状
- むちうちの後遺障害
交通事故でむちうちが起こる理由
交通事故で最も多いのは、後方からの追突事故です。
後方からの不意な強い衝撃により、被害者の首は前後に激しくしなるように動く形になります。
その動きによって首周辺の筋肉や靭帯、関節などを損傷してしまうのです。
交通事故は、被害者にとっては不意打ちを喰らったようなものです。
突然の強い衝撃に耐えきれずに首に大きな負担がかかってしまい、むちうちを発症してしまいます。
むちうちの種類と症状
むちうちには大きく分けると5つの種類があり、その種類によって症状が異なります。
むちうちの種類 | 概要 | 主な症状 |
---|---|---|
頸椎捻挫型 | 首の筋肉・靭帯・関節などを痛めている状態 | ・首や肩の傷み ・コリ ・倦怠感 ・頭痛 ・めまい |
神経根症状型 | 神経を損傷している状態 | ・首や肩の傷み ・腕の痺れ ・知的障害 ・筋力低下 |
脊髄症状型 | 脊髄を損傷している状態 | ・手足の痺れ、麻痺 ・知覚異常 ・感覚障害 ・歩行障害 ・膀胱直腸障害 |
バレー・リュウ症候群型 | 自律神経が直接的、または間接的に刺激を受けている状態 | ・頭痛 ・めまい ・耳鳴り ・吐き気 ・息苦しさ |
脳脊髄液減少症 | 猛せき髄液が漏れている状態 | ・頭痛 ・めまい ・耳鳴り ・吐き気 ・倦怠感 |
むちうちの後遺障害
むちうちを患うと、ある程度の治療をした後も痛みや痺れが取れないといった後遺症が残ることがあります。
これらの後遺症に対する賠償金を請求するには、ある一定の基準を満たしている必要があるのです。
その一定の基準のことを、後遺障害といいます。
むちうちの後遺症の慰謝料を請求するには、以下の2つのどちらかの後遺障害を認定される必要があります。
むちうちをレントゲン検査で異常なしと判断されてしまった際の対処法

むちうちをレントゲン検査で異常なしと判断されても、骨以外の箇所に異常がある可能性があります。
骨以外の箇所の状態を診察してもらうため、以下の対処法をとりましょう。
- MRI検査を受ける
- リハビリや施術を受ける
- 軽傷なら時間経過で治る場合もある
MRI検査を受ける
首や肩の痛みだけではなく、痺れなどの感覚的な異常を感じる場合はMRI検査を受けることをおすすめします。
MRI検査とは、強力な磁石と電磁波を利用し、人体の断面を画像表示する検査方法のことです。
MRI検査を受けることにより、痺れなどの感覚的な異常の原因となる神経の損傷の有無などを確認できます。
また、前述した後遺障害のうち「後遺障害12級13号〝局部に頑固な神経症状を残すもの〟」を認定してもらうには、MRIの画像が必要です。
リハビリや施術を受ける
痛みや違和感などの自覚症状がある場合は、運動療法やマッサージなどのリハビリや施術をおこなっている病院に通院しましょう。
自覚症状があるということは、筋肉や神経になんらかの損傷を負ってしまっている可能性が高いです。
軽症の場合も、そのまま放置していると悪化してしまう恐れがあります。
少しでも自覚症状がある場合は、早めに通院してください。
軽症なら時間経過で治る場合もある
傷口の炎症などの軽症のむちうちなら、時間経過で治る場合もあります。
じっとしている間や就寝時には痛みを感じなかったり、日常生活に支障がない程度の軽症なら、リハビリや施術を受ける必要はないかもしれません。
ただ、病院に行かなくていいという意味ではないので注意してください。
炎症部分の治療も、医師による投薬や電気治療を受ける必要があります。
また、本当に軽症かどうかは自身で判断できるものではありません。
交通事故に遭ったら、できるだけ早めに一度医師の診察を受けるようにしてください。
レントゲン検査で異常なしと判断されてしまった際のおすすめ通院先

最後に、レントゲン検査で異常なしと判断されてしまった際のおすすめの通院先を紹介します。
以下のどちらかに当てはまる医院のうち、口コミなどを参照にしたうえで適切な医院を選んでください。
- リハビリをおこなっている整形外科
- 自賠責保険に対応している整骨院・接骨院
リハビリをおこなっている整形外科
マッサージや運動療法など、リハビリをおこなっている整形外科なら、むちうちに対して適切な治療をしてくれるはずです。
整形外科の中には、交通事故のリハビリをおこなっていないところもあります。
必ず公式サイトや口コミ情報を確認し、リハビリをおこなっている医院を選んでください。
自賠責保険に対応している整骨院・接骨院
むちうちに対する施術は、整骨院・接骨院でも請け負ってくれます。
ただし、自賠責保険に対応していない医院を選んでしまうと、治療費を自己負担することになってしまいます。
自賠責保険に対応しているかあらかじめ確認したうえで通院するようにしてください。
まとめ
むちうちは、レントゲン検査で異常なしと診断されることが多くあります。
レントゲン検査は、骨に関する異常のみを診断できる検査です。
むちうちは筋肉や靭帯、神経の損傷などを負ってしまうことが多い傷病であり、レントゲン検査だけでは適切な診断はできません。
痺れなどの感覚的な異常を感じる場合はMRI検査を、痛みなどの自覚症状がある場合はリハビリや施術を受けるようにしてください。