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交通事故の治療費は誰が払う?被害者側が病院代や医療費を払うケースも存在する

交通事故で怪我をした被害者の治療費は、事故の加害者が負担するのが一般的です。実際には双方の間に保険会社が入って手続きが進められますが、被害者が立て替えた分を支払うパターンや、任意一括対応という支払い方法が採られるパターンなどがあります。

また、加害者が任意保険未加入だったり、保険会社から治療費の支払いを打ち切られそうになるケースもあり、この場合は被害者も適切な対応をとることが求められます。本記事では、交通事故の治療費の請求方法と、請求時の注意点などを解説します。

事故の治療費は基本的に加害者側が支払う

事故の治療費は基本的に加害者側が支払う

加害者の任意保険から支払われる

交通事故の被害者が負った怪我の治療費については、加害者が加入している任意保険の保険会社が、病院へ直接支払うことがほとんどです。これを任意一括対応といいます。

よって、被害者はその部分について負担しなくてよいことになりますが、加害者への治療費を請求する際には任意一括対応を受けた分が差し引かれるので注意しましょう。

ただし、加害者が任意保険に入っていなかったり、任意一括対応を行わない方針でいると、被害者は任意一括対応を受けられません。また、加害者が任意保険の示談代行サービスを使わない場合や、過失割合における被害者の過失が4割を超える場合も同様なので注意が必要です。

被害者が立て替えた分も支払われる

前項で説明した任意一括対応を受けられない場合、怪我をした被害者は治療費を一度立て替えておき、後で加害者側に請求することになります。請求するにあたり領収書などの証拠書類が必要です。

治療費を請求する際は他にもいくつかの手続きが必要で、まず加害者とその保険会社に損害賠償請求の手続きを行いましょう。過失割合をめぐって折り合いがつかない場合は交渉が必要になることもありますし、それでも解決しなければ裁判に発展することも少なくありません。

多くの場合は保険会社の担当者が交渉を行ってくれます。しかし裁判になると弁護士や司法書士などの専門家の支援が必要になるでしょう。

保険会社の治療費支払いの流れ

加害者が加入している保険会社を通して、治療費を支払ってもらう際の流れは次の通りです。

まず、被害者は加害者が加入している任意保険会社へ連絡し、先述した任意一括対応が可能かどうか確認しておきます。すると保険会社から任意一括対応の同意書が届くので、それにサインして返送して下さい。

すると、任意保険会社の方で手続きを行い、病院に対して治療費を支払ってくれるでしょう。

責任の割合に応じた自己負担

交通事故で負傷した場合の治療費は、基本的に加害者側が負担するものです。しかし、事故の責任の割合によっては被害者側も一部負担することがあります。

交通事故の責任の割合は、警察や保険会社などが事故の原因や状況などを調査して判定します。この判定の結果、被害者側にも何割かの過失があると認められたり、加害者の保険金だけで治療費を賄えない場合などは、自己負担が必要になることがあるでしょう。

他にも、加害者から保険金が出る前に治療費の支払いが必要になった場合、先述の通り立て替えという形で被害者が一時的に自腹を切って支払うこともあります。

自賠責保険による補償

交通事故による被害者の治療費は、加害者の自賠責保険によっても補償されます。自賠責保険とは、自動車事故による被害者の損害を一定額まで補償するもので、全ての自動車が必ず加入しなければなりません。

具体的には、医療費・通院費・後遺障害補償金・休業損害・慰謝料などが自賠責保険で支払われますが、ただし支払限度額は被害者1名につき120万円までとされており、損害額が大きい交通事故の場合はこれだけでカバーするのは難しいでしょう。

もともと、自動車の任意保険は、自賠責保険で補償し切れない分をカバーするための保険商品です。よって交通事故の被害者は、まず加害者の自賠責保険での補償分を確認してから、それでは賄え切れない分を任意保険に請求することになります。

示談交渉

交通事故被害者の治療費を、誰がどれくらい負担するかについては、加害者・被害者の双方が加入している保険会社同士で示談交渉が行われることも珍しくありません。

交通事故の損害賠償請求について、自賠責保険でカバーできる範囲を超える場合は相手方に直接請求することになりますが、その際の示談交渉によって被害者側が一部を負担するという流れです。

この場合、問題になるのは交通事故の原因や責任の割合、加害者の支払い能力などです。よって示談交渉をする場合は、自分が受けた損害を正確に把握しておくことが大切です。この交渉の段階で弁護士を介入させれば、より有利な・あるいは公正な判断が下されることもあるでしょう。

被害者側が支払うケースもある

被害者側が支払うケースもある

加害者が保険未加入だった

交通事故の被害者が治療費を負担しなければならないケースとしては、加害者が自賠責保険には入っていても任意保険には未加入だった場合が挙げられます。あるいは任意保険に入っていても補償可能な金額に上限があった場合なども該当するでしょう。

こうした場合、被害者は事故による治療費などを自己負担で支払わざるをえません。民事訴訟によって加害者へ治療費を請求することも可能ですが、裁判になると時間や費用がかかりますし、そもそも加害者に返済能力がない場合もあります。

よって、交通事故に遭った際は、相手の自動車保険への加入の有無や、その契約内容を確認しておくことが大切です。

治療費を先に払う必要があった

保険会社による対応が間に合わない場合、交通事故の被害者が治療費を先に立て替えておき、後で加害者に請求することもあるでしょう。

このケースで注意すべきなのは、加害者の加入している任意保険会社が、治療費を支払うことを拒んだ場合です。事故の状況や保険の適用範囲によっては、保険金が下りないことも珍しくありません。

よって被害者は、病院で治療費を立て替える前に、弁護士や保険の専門家などに相談するのが望ましいと言えるでしょう。

被害者にも過失が認められた

自動車保険の用語で「過失割合」というのがあり、これは交通事故の加害者と被害者の「過失」の割合を数値化したものです。

これは、あくまでも支払う保険金の金額の基準になる数値であって、事故における法的な責任や、一般通念に照らし合わせた「どちらが悪いか」という判断とは一切関係ありません。

例えば、車同士の衝突事故で、一般的に見れば加害者側が100%悪いと思われる状況でも、保険会社の過失割合の判定の基準では、事故当時に被害者の車が少しでも「動いて」いればそれだけで過失があることになります。

交通事故の保険金はこの過失割合に基づいて支払われ、被害者側に過失がある場合は、加害者側から支払われる保険金額もその分だけ割り引かれます。よって、割り引かれた分は被害者の自己負担になります。

事故の治療費はどこに請求すればいい?

事故の治療費はどこに請求すればいい?

自賠責保険の請求

交通事故で負傷し、治療費が必要な場合、被害者は加害者の加入している保険会社に請求して自賠責保険から保険金を受け取ることができます。

自賠責保険は、法律に基づき、全ての自動車保有者が加入することが義務づけられている「強制保険」で、怪我の治療費や後遺障害などの損害賠償、また慰謝料分などもここから受け取ることができます。

ただ自賠責保険金の受け取りには、加害者が既に被害者に対して治療費などを支払った(立て替えた)分を、後で保険会社に請求する「加害者請求」というやり方もあるので注意しましょう。

つまり、加害者から一度治療費を受け取って、それとは別に自賠責保険に被害者が請求する二重取りはできないということです。

任意保険の請求

加害者が任意保険に加入している保険会社に、交通事故の被害者が治療費を直接請求することも可能です。その場合は、保険会社から診断書や治療代の領収書、治療経過報告書などを求められることがあります。

実際には、被害者が加入している保険会社の担当者が間に入って手続きを進めてくれることもあるでしょう。その後、過失割合なども踏まえて交渉を進め、自賠責保険金も含めた費用分を受け取ることができます。

立て替えた分の請求

交通事故の被害者が、治療費を自己負担で先に支払っていた場合は、後から加害者に請求することができます。手続きとしては、支払を証明する書類を用意して、加害者本人に書面で通知を行うことになるでしょう。

もしも本人に請求して、支払いの合意に至らなければ、裁判所に提訴することもできます。

また、加害者が任意保険に未加入だったり、立て替えた治療費の支払いを保険会社が拒んだりした場合は、加害者の自賠責保険に請求することも可能です。ただ、自賠責保険については傷害部分につき120万円までと上限が決まっているので注意しましょう。

被害者が治療費を立て替えることも難しい場合は、自賠責保険の仮渡金請求制度を利用することも検討してみて下さい。さらに、ひき逃げで加害者が不明だったり、加害者が加入している保険会社も分からない場合は、政府保障事業を利用することもできます。

治療費を打ち切られそうになったら

治療費を打ち切られそうになったら

治療費の打ち切りとは

交通事故による治療費が長期にわたり、加害者側の保険会社から治療費の支払いが打ち切られそうになった場合、医師の診断書を提出することで支払いを継続できることもあります。

任意保険会社は、病院から診療報酬明細書や診断書などを取り寄せ、状況を見て治療費支払いの打ち切りを打診することがあります。その理由は、自社支出を減らすためと保険金詐欺を防ぐための2つで、被害者側が本当に治療が必要な状態であれば、それに安易に応じる必要はありません。

後遺障害等級への影響

交通事故による怪我について、保険会社から治療費打ち切りの打診があっても治療は中断しないようにしましょう。なぜなら、治療を中断した時点の症状のままで固定してしまうと、後遺障害等級の認定が難しくなってしまうからです。

後遺障害等級は、後遺症の程度によって1級~14級まで認定され、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償として後遺障害慰謝料が受け取れるようになります。等級の認定結果は、後遺障害慰謝料・逸失利益の請求可否・金額にそのまま影響するので注意が必要です。

入通院慰謝料への影響

保険会社からの治療費の打ち切りを受け入れて、治療を中断してしまうと、入通院慰謝料が低額になってしまうリスクも生じます。

入通院慰謝料は、交通事故に遭遇して医療機関への通院・入院せざるを得なくなった場合、その精神的損害に対して支払われます。その算定基準は基本的に入通院期間がベースになるので、治療期間が短くなると入通院慰謝料が減額される可能性が出てくるのです。

例えば、完治までに半年はかかる治療期間を3ヶ月で終えてしまったことで、40万円以上も慰謝料が減少したというケースがあるので注意しましょう。

弁護士に相談を

保険会社から治療費支払い打ち切りの打診があった場合は、法律の専門家に相談することも有効です。弁護士や司法書士は交通事故に関する法律や自賠責保険の規定に詳しく、被害者の権利を守るために尽力してくれます。

これらの専門家に依頼すれば、被害者自身が保険会社と交渉する必要はありませんし、交渉もスムーズに進む可能性が高まるでしょう。

もしも保険会社から治療費支払い打ち切りの打診があっても、医師に治療継続の意見書を書いてもらうことでスムーズに対抗できるでしょう。漫然と治療を受けている状態ではなく、必要な通院・治療であると反論できるようにすることが重要です。

また、被害者が加入している任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用負担なしで弁護士に交渉を依頼することが可能です。

まとめ:事故にあったらすぐに保険会社と連絡を取ろう

まとめ:事故にあったらすぐに保険会社と連絡を取ろう

交通事故に遭ったら、すぐ保険会社へ連絡しましょう。治療費は、加害者が加入している自賠責保険や任意保険を扱っている保険会社に請求可能です。

実際の治療費の支払い方法は、任意一括払いや、あるいは被害者が立て替えた分を払ってもらうなどのやり方になります。加害者の保険加入の状況や、保険会社による治療費の支払い打ち切りなど、注意しなければならないケースもあるので、保険会社としっかり連絡を取り合うようにしましょう。