交通事故は、いつ誰に起きても不思議ではないものです。
あなたがこの記事を読んでいるタイミングがまさしく交通事故に遭った直後の場合は、この記事の内容に従って速やかに行動してください。
また、そうでない場合もこの記事の内容が役立つ日が突然やってくるかもしれません。
自身ではなく、家族や大切な人が交通事故に遭ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、交通事故受診における必要な知識を網羅的に解説していきます。
目次
【結論】事故発生後7日以内に受診する
結論として、交通事故に遭ったら事故発生から「遅くとも7日以内」に病院にいくようにしてください。
事故発生から通院までの期間が空けば空くほど、事故と身体への損傷の因果関係を疑われてしまう可能性があります。
よって、事故発生後はできるだけ早く、遅くとも7日以内に通院するべきです。
なお、その際に向かうべき病院は「整形外科」もしくは「総合病院」です。
身体的な怪我以外にも、頭痛や耳鳴りなどの症状がみられる場合は総合病院に向かうことをおすすめします。
総合病院なら、あなたの症状に合わせて適切な科を案内してくれるはずです。
交通事故受診の重要性
交通事故受診は、怪我の重度に限らず「必ず受けるべき」です。
物損事故として扱われてしまうと治療費は支払われず、物損被害に対する賠償金のみが支払われます。
仮にあなたが体一つで事故に遭ってしまった場合、病院を受診しないと金銭は一円も支払われないということです。
慰謝料とは、身体の治療にかかった治療費や通院の際の交通費は別に、あなたが負ってしまった「精神的な苦痛」を和らげるために支払われます。
慰謝料の金額が決まる要因は、主に通院や治療に掛かった時間です。
交通事故受診には、このように大きな意味があるのです。
交通事故受診の必要性
交通事故受診は、あなたの心身の健康を守るためにも必要不可欠です。
- 交通事故の直後は症状が現れにくい
- 交通事故による損傷は目に見える部分だけではない
- 交通事故でよくある症状
交通事故の直後は症状が現れにくい
交通事故の症状は、事故発生から数日経ってから現れることも珍しくありません。
事故発生直後は、精神的・物理的なダメージから自律神経の働きが一時的に強くなっています。
アドレナリンが多く分泌されるため、痛みを感じにくくなるのです。
一時的に強まった自律神経の働きは、時間が経つと少しずつ正常に戻っていきます。
そのため、事故発生から時間を経て怪我の症状が出始め、痛みを感じるようになることがあるのです。
交通事故による損傷は目に見える部分だけではない
交通事故による損傷は、目に見えない部分に現れることもあります。
特に、頭への損傷は後遺症が残ることがあるので注意が必要です。
頭皮の損傷は目に見えるものですが、脳への損傷は目には見えません。
手足が麻痺を起こしたり、記憶障害や認知症の症状が出たりすることもあり、放置すると取り返しのつかないことになってしまう可能性もあります。
また、目に見えた出血はなくとも、頭蓋骨の内側を損傷して内部から出血してしまうこともあり、大変危険です。
交通事故でよくある症状
出血や骨折といった目に見える症状以外にも、交通事故では以下の症状を発症することがよくあります。
- むち打ち
- 首や腰が痛む・動かしにくい
- 筋肉の張り
- めまい
- だるさ
- 耳鳴り
- 吐き気
- 脱力感
- 食欲不振
- 消化器系の機能低下
上記のように、肉体・精神の両面で症状がみられることがあります。
これらの症状を早期発見し、適切な処置を受けるためにはやはりできるだけ早く診察を受けることが大切なのです。
受診のタイミング
交通事故に遭ったら、できるだけ早く医師の診察を受けることをおすすめします。
遅くとも7日以内、できれば事故発生の当日に受けるのがベストです。
できるだけ早く受診した方が効果的な治療を施されるのはもちろんのこと、症状と事故との因果関係を疑われることもないはずです。
また、受診後に痛みなどの症状が現れ始めた場合も、やはり再度診察を受けるべきです。
前述したように、交通事故による損傷は事故発生から数日から経って現れることも多くあります。
その場合は、再度CTやMRI検査を受けることで事故直後との変化が見受けられるはずです。
交通事故受診における保険金請求の期限
交通事故受診における保険金は、事故発生から3年経った時点で時効となります。
このことは、保険法によって定められているため例外はありません。
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
保険法(平成20年6月6日法律第56号)
交通事故受診の流れ
この章では、交通事故に遭ってから病院で診察を受けるまでの流れについて解説します。
大前提として、パニックにならずに落ち着いて行動することが大切です。
取り乱して行動してしまうと、事故の被害を更に大きくしてしまったり、適切な措置を受けられなかったりする場合があります。
以下の流れに沿って、適切な行動をとっていきましょう。
- 事故現場の安全を確保する
- 警察に連絡する
- 事故の相手や目撃者と情報交換をする
- 事故現場の状況を記録しておく
- 保険会社に連絡する
- 病院にいく
- 警察にいく
①事故現場の安全を確保する
事故発生直後は、まずはその場の安全を確保することを優先的に考えましょう。
警察がくるまで事故現場はそのままの状況にしておくのがベストですが、新たな事故が起こりそうな場合はその場の安全を確保するために、車を移動させるなどの措置をとります。
その場合は、写真やメモなどを残して事故発生当初の状態がわかるようにしておきましょう。
また、自身の身体に損傷がある場合は無理をせず、救急車を呼ぶなどの措置をとってください。
②警察に連絡する
交通事故が起きたら、警察に報告することは法律で定められた義務です。
これを怠ってしまうと、道路交通法違反などの罰則を受けることになってしまいます。
また、保険金の受取などには警察から発行される「交通事故証明書」が必要です。
③事故の相手や目撃者と情報交換をする
保険金や損害賠償などの処理をするため、事故を起こした相手との情報交換をしてください。
相手から聞き出す必要がある情報は、以下のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 連絡先
- 車のナンバー
- 保険会社名
相手の氏名や住所は、口頭での交換では嘘をつかれてしまう恐れがあります。
必ず免許証などの身分証明書を出してもらい、写真を撮らせてもらいましょう。
また、事故の目撃者がいる場合は示談交渉や裁判で証言をもらえるかもしれません。
場合によっては、協力を求めて連絡先を交換しておいた方がいいでしょう。
④事故現場の状況を記録しておく
事故現場の検証は警察がおこなってくれますが、可能な限り自分でも状況を記録しておきましょう。
スマートフォンのカメラで、事故現場や車の写真を撮影しておくことをおすすめします。
事故相手との会話も、可能なら録音しておいた方がいいでしょう。
⑤保険会社に連絡する
続いて、保険会社に連絡して事故の状況を伝えてください。
保険金に関する案内をもらえる他、その場での適切な処置についてアドバイスをもらえるはずです。
また、事故相手にも自身が加入している保険会社に連絡するよう求めてください。
場合によっては、相手側の保険会社の担当者が事故処理に必要なやりとりを代行してくれる場合もあります。
⑥病院にいく
警察や保険会社とのやりとりがひと段落ついたら、病院にいって診察を受けてください。
目立った外傷などがなくても、目に見えない症状がある可能性もあります。
できれば事件当日、どうしても難しい場合はできるだけ早めに病院にいくようにしてください。
診察を受ける際は、医師に事件の状況をできるだけ正確に伝えるようにしましょう。
そうすることで、考えられる症状を想定しながら適切な診察・治療をしてくれるはずです。
また、必ず診断書を作成してもらってください。
診断証がなければ人身事故として処理してもらうことができず、治療費や慰謝料などを請求できなくなってしまいます。
⑦警察にいく
医師から発行された診断書を持って、あらためて警察に出向きましょう。
事故直後に目に見えた外傷がない場合、物損事故として処理されている可能性もあります。
物損事故として処理されてしまうと、治療費を自己負担することになってしまいます。
確実に人身事故として処理してもらえるよう、手続きを進めてください。
まとめ
万が一交通事故に遭ってしまった際は、遅くとも7日以内に医師の診察を受けるようにしてください。
できれば事故当日、どうしても難しい場合も2・3日以内に診察を受けるのがベストです。
交通事故による症状は、事故発生直後には現れない場合も多くあります。
適切な診察・治療を受けるためには、事故発生後できるだけ早く病院に出向くことが大切です。
以下の流れに沿って、適切な行動をとっていきましょう。
- 事故現場の安全を確保する
- 警察に連絡する
- 事故の相手や目撃者と情報交換をする
- 事故現場の状況を記録しておく
- 保険会社に連絡する
- 病院にいく
- 警察にいく
また、交通事故受診における保険金請求の期限は3年です。
それ以上の日数が経ってしまうと、時効扱いとなってしまうので忘れないよう注意してくださいね。